鼻から?口から?胃カメラはどちらがいい?

「胃カメラは鼻からの方が楽ですか?」
「口からだと苦しいですか?」
「鼻からだと詳しく見ることができないと聞きましたが本当ですか?」
胃カメラを受ける際、鼻から入れる「経鼻内視鏡」と、口から入れる「経口内視鏡」のどちらにするか迷われる方も多いのではないでしょうか。
一般的には、鼻からの胃カメラには細い内視鏡、口からの胃カメラにはそれより太い内視鏡を使用する施設もあります。
しかし、当院では鼻からでも口からでも同じ細径内視鏡を使用しています。
では、それぞれ何が違うのでしょうか?特徴を詳しくみていきましょう。
鼻からと口からの胃カメラ、何が違う?
違いを簡単にまとめると、次のようになります。

当院では、鼻・口どちらも同じ細径内視鏡を使用しており、太さや画質に違いはありません。
鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)とは?
鼻から細径内視鏡を挿入する方法です。
✅主なメリット
まず大きなメリットは、嘔吐反射が起こりにくいことです。
胃カメラで最もつらいと感じる方が多いのが、「オエッ」となる感覚です。経鼻内視鏡では舌の奥への刺激を抑えやすいため、嘔吐反射が強い方には適しています。
また、内視鏡が口をふさがないため、検査中に会話ができるのも特徴です。「少し苦しい」「大丈夫です」といった意思表示ができます。
さらに、比較的苦痛が少ないことから、鎮静剤を使用せずに検査を受けたい方にも向いています。
✅主なデメリット
一方、経鼻内視鏡には鼻特有のデメリットがあります。
鼻の中は人によって広さや形が異なるため、内視鏡を通す際に鼻の痛みや圧迫感、違和感が生じることがあります。
また、内視鏡が鼻粘膜に接触することで、鼻血が出ることがあります。
鼻腔が狭い場合や鼻の形によっては、内視鏡を鼻から通せないこともあります。その場合には無理に挿入せず、口からの検査へ変更することも可能です。
口からの胃カメラ(経口内視鏡)とは?
口から内視鏡を挿入する、従来から行われている方法です。
当院では口からの場合にも、鼻からの場合と同じ細径内視鏡を使用しています。
したがって、
「口からだから太い」
「鼻からだから画質が悪い」
という違いはありません。
✅主なメリット
口から挿入するため、鼻の痛みや鼻出血を心配する必要がありません。
鼻腔が狭い方や、以前に経鼻内視鏡で鼻の痛みが強かった方にも適しています。
また、「胃カメラが怖い」「以前の検査がとてもつらかった」という方では、希望に応じて鎮静剤を使用して検査を受けることもできます。
✅主なデメリット
口から挿入する場合には、内視鏡がのどや舌の奥を通るため、嘔吐反射が起こりやすいというデメリットがあります。
特に「オエッ」となりやすい方では、経鼻内視鏡の方が楽に感じる場合があります。
また、検査中はマウスピースをくわえているため、基本的に会話することはできません。
「鼻からだと画質が悪い」は本当?
以前の細径内視鏡では、通常径の経口内視鏡と比べて画質や解像度が劣ることが課題でした。
しかし、近年の内視鏡機器は大きく進歩しています。
日本消化器内視鏡学会によると、2020年以降に登場した細径内視鏡は解像度が大きく向上し、従来の経口内視鏡と同様の画質が得られるようになったとされています。また、画像強調観察(特殊な光を使って通常ではわかりにくい病変を見つけやすくする方法)も細径内視鏡で使用できます。
こうした点も、当院で同じ細径内視鏡を使用している理由の一つです。
どちらがおすすめ?
どちらが絶対に優れているというものではありません。鼻腔の形や嘔吐反射の強さ、過去の胃カメラの経験などによって、楽に感じる方法は一人ひとり異なります。
一般的には、
鼻からの胃カメラが向いている方は、「オエッ」となるのが苦手な方、鎮静剤をできれば使いたくない方、検査中に会話できる方が安心する方、以前に経鼻内視鏡を楽に受けられた方などです。
口からの胃カメラが向いている方は、鼻が狭い・鼻づまりがある方、鼻血が出やすい方、以前に経鼻内視鏡で鼻が痛かった方、鎮静剤を使用して検査を受けたい方などです。
まとめ
「鼻からの胃カメラ=楽」
「口からの胃カメラ=つらい」
と単純に決まるわけではありません。
鼻からの胃カメラは嘔吐反射が起こりにくい一方、鼻の痛みや鼻出血が起こることがあります。口からの場合は鼻への負担がありませんが、のどを通るため嘔吐反射が起こりやすくなります。
そして、当院では鼻・口どちらも同じ細径内視鏡を使用しており、太さや画質に違いはありません。
そのため、内視鏡の性能で選ぶのではなく、「自分がより楽に、安心して受けられるのはどちらか」を基準に選んでいただけます。
「以前の胃カメラがつらかった」
「鼻と口、どちらが自分に向いているかわからない」
という方も、お気軽にご相談ください。
一人ひとりに合った方法を相談しながら、できるだけ苦痛の少ない安全な胃カメラを行っていきます。
参考資料
日本消化器内視鏡学会「経口内視鏡と経鼻内視鏡の違いは何ですか?」
日本消化器内視鏡学会「上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)と治療」
日本消化器内視鏡学会「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)」
日本消化器内視鏡学会「ガイドライン・提言」



